流されない自分になるために読むマンガ・本

マンガ大好きです。
小学生のとき、わたしが少女漫画雑誌の『なかよし』を、妹が同じく『りぼん』をそれぞれ買ってもらい、毎月楽しみに読んでいました。
わたしのマンガ人生のあけぼの期です。
それ以降、年齢や立場によって、読んでいるマンガは変遷していきました。
今日は、「主体性なく、周囲の人の意見や顔色をうかがうだけの人生を送っているとどうなるのか?」ということを、マンガや本をヒントに考えたいなあと思います。
なぜかというと、わたしが仕事をしていたとき、ものすごく自分の意見を述べるのが苦手だったからです。
わたしの意見なんてくだらない(自己肯定感ひくいので)→言ってもとりあってくれないだろう→それなら周囲の人のいいなりになっておいたほうがラク。
こういう安易な感情で、周りに流されていました。
こういう感情が大きいままで続いてしまうと、どうなっていくのでしょう。
今からご紹介するのは、ちょっと極端な例になるかもしれませんが、だれでも少しはもっていると思われる
「わたしって流されがちかも」
という側面にスポットライトをあててみたいと思います!
山岸 凉子『天人唐草』
大学生の時読んで衝撃的に怖かった『天人唐草』。
人形が動くとか、幽霊がでてくるようなホラーではなく、人間の狂気に触れてぞっとします。
ラストがとっても怖い…
ネタばれになってしまうのであまり細かいことは言えませんが、山岸凉子の作品は、精神疾患を扱った短編で面白く且つ怖いものがけっこうあります。もちろん、愛読者です。
主人公の響子は、少し同情できる生い立ちではあるんですが、成人後の同僚による「みえっぱり」という一言を契機に、何かをつかめるチャンスがあったはずです。
大きなやり直しのチャンスを逃してしまったのですね。
今読みかえしてみたら、こころが苦しくなってきました(´・ω・`)
余談ですが、亭主関白の響子のお父さんタイプの男性、一昔前にはけっこういたんでしょうね。
By オーブリー・ビアズリー – [1], パブリック・ドメイン, Link
上の挿絵は、山岸凉子先生が幼いころから好きだったピアズリーのものです。
マンガのタッチとすごく似ているように思います。
マンガの線が細いので、神経質な印象もうけますが、扱う題材がナイーブなものばかりなのでとても合致しています。
野原 広子『離婚してもいいですか?』
生活情報詩『レタスクラブ』に連載していた、エッセーマンガです。
専業主婦の翔子の「夫が大嫌い」という言葉からはじまります。
念のために申し上げますが、離婚をかんがえてこのマンガを買ったわけではない、と思います…。
長年夫婦していると、いろんなことがたくさんあって一筋縄じゃいきません、どの夫婦も一回くらい離婚を考えたことあると思うんですよね。
口に出さないだけで。
そんなときに、買いたくなる本です‥。
それはさておき、マンガの最初のほうでは、
主婦だからって、あんなひどい言葉を夫から言われて黙ってるなんて!
わたしだったら死ぬほどいいかえしてやるのに!はがゆいなあ、と思って読んでいました。
しかし、最後はホロッときてしまいました。
ストーリー中盤辺りから、翔子は離婚のために資格をとろうと一歩踏み出していきますので、胸をなでおろします。
結末は、ちょっと意外でした。
翔子のようなタイプの人間は、いつもニコニコしていて怒ったりしないけれどある日急に家出してしまう、とマンガのなかで評価されていました。
ため込んで、急に爆発しちゃうんですよね。自分にも思い当たる節があります。
仲が良い夫婦でも、読んでみてください。
わたなべぽん 『自分を好きになりたい。』
副題に、「自己肯定感を上げるためにやってみたこと」とあったため購入しました。
母親との関係等、自分の深いところの経験までさらけだしてのエッセーでした。ぽんさんの母親はかなりの毒母だと、わたしは思いました。
母親は自分を肯定してくれなかったかもしれない。
でも、自分だけでも自分をみとめてあげる。
そのことの大事さに気づいていく過程が、丁寧に描かれていました。
エピソードのひとつひとつに、読んでいる自分までが癒されていく感じがしました。
自己肯定感がないと、他者を異様に気にしてしまい、かえって挙動不審な行動をとってしまいます。
近所の人と上手につきあえない感じとか、あるあるでした。
つらい経験談が多いわりには、がんばって明るくまとめあげたマンガという印象です。
精神的にたいへんな作業を、すごいなあと思います。
芥川龍之介 『六の宮の姫君』
急に純文学です。
しかも、芥川龍之介。
高校生の時はじめてこの本を読んだときは、「はあ?!だから、なんなのよ、このお姫様。しっかりして」
という感じでしたが、今になって思い出しました。
それは悲しみも知らないと同時に、喜びも知らない生涯だった。
『六の宮の姫君』芥川龍之介
若いときは、そんな人生って本当にあるのかなあ、とピンときませんでした。

あらすじは、ざっくりこんな感じです。
時は平安時代、この宮腹のお姫様は父母をたよりに生きてきましたが、突然両親が死に途方にくれます。
乳母がなんとかして結婚させましたが、うまくいかず、再婚も断り自分の人生をなりゆきまかせにしてしまいました。
ボロボロになった六の宮は、死ぬ間際に、僧侶が念仏を唱えるように言っても、
何も、―何も見えませぬ。暗い中に風ばかり、―冷たい風ばかり吹いて参りまする。
『六の宮の姫君』芥川龍之介
と繰り返すばかり。
そうなんです、六の宮の姫君は自力で念仏を唱えて極楽に行くことができなかったんです。
今読むと、
そんなこともあるよね、人生。結局男しだいって面が、女の人生にはついてまわる。思い通りにいかないのが人生なんだよなあ‥。
などと、六の宮の姫君をうけいれられる懐(ふところ)のふかさを年とともに身に着けています。
味わい深くしみじみと読み返せました。
それでも、最期の時に南無阿弥陀仏がいえるくらいには、六の宮も自分の人生にチャレンジしておくべきだったとは思います。
再婚した男が意外にもいい人だったとか、もしかしたらあるかもしれません。
この六の宮の姫君は亡霊になってしまいました。
菅野 仁 『友だち幻想』
ついつい流されがちなところって、もしかしたらそいう空気が現代社会に流れているからなのでは。
もしくは、そういうふうに学校で教育されてきたからでは。
自分の内面だけではなく、自分をとりまく社会へ視点をうつしたければ、この本がいいと思います。
本当は幸せになるための「友だち」や「親しさ」のはずなのに、その存在が逆に自分を息苦しくしたり、相手も息苦しくなっていたりするような、妙な関係が生まれてしまうことがあるのです。
私はそれを、「同調圧力」と呼んでいます。
『友だち幻想』菅野 仁
このいつも一緒に行動していないと、不安だ。仲間から距離を少しでもとろうとすると、いじめの対象になってしまうのでこわくてできない。
学生の時に、けっこうおこりがちな心理だと思います。
育児中の女性も、同調圧力で悩んでいる人がいると思います。
現代社会は、多くの情報と価値観でふくらんでいるため、お互いに自分の価値観に自信がもてず、不安が増大していってしまう。
そのため、群れることで不安から逃れようとする。
価値観が違う、気に入らない人に出会ったとき、どうやって彼ら彼女らとつきあっていくのか考えること。
そのことの必要を、わかりやすく解説してくれています。
「みんな仲良く」という幻想を、教育現場でも捨てるべきだとしていますが、わたしも社会に出て「みんな仲良く」なんて無理と実感しましたので、早々に捨てるべきだと思います。
まとめ
結局、主体性なく、周囲の人の意見や顔色をうかがうだけの人生を送っているとどうなるの?
自分からすすんで何かをすることができなくなって、亡霊になっちゃうんだよ。
自己肯定感をあげる努力をしてみて、急に爆発ではなく、少しずつ自己主張していくのがよさそうです。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。